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食べて、作って、映画観て

映画を観て食べたくなったものを食べるブログ。たまに作ったりもする。

2016年ベスト映画

年に1回しか更新していないこのブログですが、今年も年賀状代わりにベスト映画を挙げておきます。

<ネタバレあり>

1 『ズートピア

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擬人化された動物達が暮らす世界を舞台にしたディズニー・アニメーション。誰もが楽しめる超一級のエンターテインメントでありながら、現代社会が抱える偏見と差別、政治批判までをストーリーに織り込んでいるところが秀逸です。特に正義感の強い警官のジュディ本人が隠れた偏見を露呈し、それがズートピアの分裂につながってしまうというエピソードはハッとさせられるものがありました。民衆の怒りと不安を糧にしてドナルド・トランプが大統領になった2016年。まさに時代を象徴する1本だったと思います。毎年ディズニー系が上位になってしまうのですが、ここ数年のディズニーはそれほどすごい。世界で一番真剣に物語に磨きをかけているスタジオだと思います。

2 『この世界の片隅に

 

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観終わった後、放心状態になってしまって感想がまともに言えず。2週間ぐらいこの映画のことがずっと残り続け、気がつくと「かなーしくーて、かなしくてーとてもやりきれないー」とテーマ曲を口ずさんでいるのでした。すずさん、恐ろしい子…!

すずさんにとって絵を描くことは周囲とコミュニケーションを取る手段であり、故郷から遠く離れた場所にいながら自分を取り戻す手段でもありました。水原さんにうさぎを描き、リンさんにすいかを描き、ふるさとの記憶を留めるために広島を描いていた。なのでその右手と姪を不条理に奪われた後、すずさんが発する言葉が胸にぐさぐさ突き刺さる。どんなに悲しくてもやりきれなくても、人生はずっと続いていくんだなあと思いました。

3 『ブルックリン』

 

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『ブルックリン』は『17歳の肖像』『わたしに会うまでの1600キロ』のニック・ホーンビィが脚本を書いていて、今年一番台詞が光っている映画だと思いました。残された者の悲哀と出ていく者の罪悪感という内面を繊細に描いているところが素晴らしい。自信を取り戻して輝いていく主人公をシアーシャ・ローナンが好演しています。

上位に挙げた『ズートピア』『この世界の片隅に』『ブルックリン』は女性が故郷を離れて新しい居場所を作っていく物語でした。私が今年新しいことにチャレンジしたい気分だったのかも。

 

4 『サウルの息子』 

サウルの息子(字幕版)

映画館でドヨーンとしすぎて立ち上がれず。強制収容所でユダヤ人の同胞をガス室に追いやる収容者「ゾンダーコマンド」のサウルが、息子と思しき少年の遺体をユダヤ教のラビの手で葬るために奔走するというお話です。自分があと数週間生き延びるために、誰かを毎日殺して処理していく。地獄のような風景をカメラははっきりと捉えず、サウルの石のような表情しかフォーカスしていません。無感覚になってしまったサウルの目線に観客を放り込むようなこの撮影手法が新しい。加害者でもあるゾンダーコマンドを主役において、人間の尊厳について考えさせる構成になっているところも秀逸だなと思いました。サウルが最後に見せる笑顔が記憶に残ります。

5 『オデッセイ』

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職業能力で危機を救う話というのが無条件で好きです。火星に取り残されたマット・デイモンに比べると、絶望的なプロジェクトに直面したときに「自分もまだまだイケるな」と思えるので、サラリーマンの皆さんにおすすめ。

6 『シン・ゴジラ』 

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シン・ゴジラ』は会議シーンの台詞が速く情報量が多いところと在来線爆弾が好きなので入れました。『シン・ゴジラ』『オデッセイ』は、「未曾有の危機」に対して組織がどう対応すべきかという映画なので、マネージャーの皆さんにおすすめです。

ちなみに本作と震災つながりで比較されていた『君の名は。』は、危機をリセットしてなかったことにする映画なので、私にはいまいち響きませんでした。現実はリセットできんぞ、若者よ!(老害

7 『キャロル』

キャロル(字幕版)

構図が完璧でうっとりします。特に何度も登場する車の窓ガラスや、主人公と男性を隔てる窓枠は、背景そのものが心理描写になってる。すごく丁寧に手間のかかることをやっている。昔ながらの映画の美しさを大事にしているところが好きなので入れました。50年代風の衣装も素敵でした。ルーニー・マーラはどこを切り取っても可愛い。

8 『シングストリート 未来へのうた』

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 今年ずっとサントラ聴いてましたが、アルバムの冒頭が「ロックンロールはリスクだ」というお兄ちゃんの台詞で始まるんですね。お兄ちゃん自体はロックが大好きで弟にあれこれ教えるんだけど、田舎町でニート生活を送っている。この兄の存在がリスクを恐れてつまんない大人になってしまったすべての大人を象徴しているような気がします。だからこそ夢に向かって、まっすぐ突き進む主人公が眩しい。15歳でバンドを組んで、運命の女の子に出会って、デモテープだけを手に旅立つ。こんな青春を送りたかった!という夢が詰まった映画。

9 『ヘイトフル・エイト』 

ヘイトフル・エイト(字幕版)

 

後半は銃撃!血ドバー!肉ブシャー!ヒャッハー!みたいな展開で大変満足しました。演技巧者が揃っているので、密室劇であっても全然飽きない。

 

10 『ブリッジ・オブ・スパイ

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 10位ハドソン川の奇跡』『ローグ・ワン』『ディーパンの闘い』あたりと悩んだのですが、「Woud it help?(それは役に立つか?)」の台詞がすごく好きだったのでこちらにしました。終始トム・ハンクスが鼻をぐずぐずしてたり、偽家族のシーンなど笑いどころも含まれている。ソ連のスパイを演じるマーク・ライアンスの飄々とした佇まいもとても印象深かった。

 

2016年はやはり洋画は難民問題が表面化して、移民・難民をテーマにした映画が多かったなーという気がします。それでは良いお年を。